骨盤臓器脱(子宮脱)

骨盤臓器脱(子宮脱)とは

骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse :POP)とは骨盤内の臓器(子宮、膀胱、直腸、腟断端部)が腟に向かって落ちてくる状態です。

子宮脱と呼ばれることが多いですが、最近は骨盤臓器脱と呼ぶことが一般的になっています。分娩や加齢、肥満などが原因で、40歳代から80歳代の女性に多く見られますが、若い多産婦の方にも妊娠中や出産後にみられることがあります。

子宮下垂 子宮を支える骨盤内の筋肉や靭帯が緩むこと
子宮脱 腟から体外に脱出した状態
膀胱瘤、直腸瘤 膀胱、直腸が腟を介して下垂している状態

骨盤臓器脱の症状

  • 下垂感、脱出感
    例えば・・・夕方になると、股のあたりに何かが下がってきた感じがする
         お風呂で洗っていると、股からピンポン玉のようなものが触れた、出てきた
  • 頻尿、尿失禁
  • 出血(出ている部分が下着にこすれる)
  • 排尿困難
  • 便秘

検査と診断

内診台で直接拝見します。

腹圧をかけてみたり、子宮をけん引したりして臓器の下がり方を診察します。

治療

①骨盤底筋体操

ゆるんだ骨盤底の筋肉を鍛える体操です。

下垂や脱の予防にはなりますが、脱出した臓器を戻すには体操は効果がありません。

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②ペッサリー療法

腟の中にリング状のペッサリーを挿入して、臓器が脱出しないように支える治療法です。利用者様のサイズに合ったものを使用します。(長期留置法と自己着脱方式があります)

まつしま病院では初診再診問わず随時ペッサリーを装着致します。短時間で挿入できるため、利用者様の負担は少ないです。サイズには個人差はあります。妊娠中も対応可能です。

帰宅後に腟の外へ出てしまった場合は外来へお越し頂き、再度装着致します。サイズ変更は適宜行っております。

ペッサリーを挿入した方は1~3ヶ月に一度通院、交換が必要になります。腟洗浄を行い腟内のびらんや潰瘍がないかチェックが必要です。

定期的な通院が難しい利用者様には装着ができません。(入れたまま放置をすると癒着や穿孔の合併症が起きることがあります)

自己着脱が可能なペッサリー(Milexペッサリー)のサイズ選択も随時行っております。サイズ選択後まつしま病院で注文、自己着脱の指導(1回3,000円)、その後のフォローアップが可能です。

③手術療法

ペッサリー療法でコントロールが困難な利用者様が対象になります。

腟式子宮全摘術+腟壁形成術、腟閉鎖術、仙骨腟固定術など、利用者様に合った治療をご提案させていただきます。

必要に応じて手術可能な高次病院へ紹介いたします。

利用者様がご高齢の場合、ご家族の同伴をお勧めしております。

ご不明な点がありましたが外来担当医師へお気軽にご相談ください。